さて、今回は珍しく病気のお話をさせていただきます。
潜在精巣って聞いたことありますか?「停留精巣」や「陰睾」とも呼ばれます。
精巣は産まれた直後お腹の中にありますが、生後1カ月くらいでお腹の外へ降りてきて陰嚢におさまります。
精巣が降りてくるのが少し遅い子もいますが、生後6カ月を過ぎても陰嚢内に精巣が触れない子はそれ以上待っても降りてくる可能性は低いでしょう。
精巣が陰嚢内にない場合、内股の皮膚の下やお腹の中に存在しています。(※きわめて稀ですが精巣が欠損している場合もあります。)
当院では潜在精巣の子は精巣摘出を積極的にすすめています。
理由としては以下のとおりです。
①将来的に精巣が腫瘍化する可能性が高い
②精巣捻転の危険性
③遺伝性疾患である
先日、潜在精巣を持つワンちゃんが急に元気がなくなったとのことで来院し、検査により精巣捻転が疑われました。
手術にて捻じれた精巣を摘出したところ、虚血によりドス黒い色をしていました。
(左:捻転・腫瘍化した精巣、右:正常)
潜在精巣があっても元気にしている子が多いと思いますが、今回の症例のように急に具合が悪くなることもあるので、やはり放っておいていい疾患ではないなと改めて感じました。
潜在精巣の子で手術を考えている方は、一度ご相談下さい!